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前回、日本と海外の福利厚生制度の考え方の違いについて記載しましたが、今回は国・地域別にその内容を少し詳しくご紹介します。
【米国】
死亡保険、医療保険は勿論のこと、最近日本でも急速に普及し始めた所得補償保険(LTD…Long Term Disability、STD…Short Term Disability)についても企業負担で従業員に提供するのが一般的です。特に国民皆保険制度が整っていない米国では、企業負担で医療保険を契約していることは必須といえます。逆にこうした制度が無いと企業は満足な採用が出来ません。死亡保険は、ほぼ年収の3倍程度を目安に契約しているようです。弔慰金規定の代替として制度を導入している企業が多い日本に比べてかなり高額ですね。
一方、個人が加入する保険は、年金(Pension)を除いては、歯科(Dental insurance),眼科(Vision insurance)といった特殊な保険が中心で、個人で死亡保険に加入することはあまり一般的ではありません。
【欧州】
英国は米国と比較し社会保障制度が整備されているので、医療保険を導入している企業は殆どありません。一方、死亡保障は年収の4倍程度と高く、障害保険(Disability:所得補償に近い保険です)もかなり高額付保されています。
大陸部の欧州各国は、福利厚生制度イコール年金です。即ち「企業年金」に死亡保障、障害保険がセットされているのが一般的です。各国とも社会保障制度が充実していますので、旧東欧諸国を除いて医療保険を提供する企業は殆どありません。又、死亡保障額もそれほど大きくありません。
いずれにせよ、企業にとって、「Benefits(福利厚生制度)」は、「給与」、「休暇」と共に、人材の採用・確保のための3本柱の一つといえるほど重要なものという認識が根本にあり、福利厚生制度の充実は経営にとって重要課題となっています。
【アジア】
アジアでは、米国植民地時代が長かったフィリピン、先進国化が進んだシンガポールなどではかなり前から団体医療保険を中心に福利厚生制度が導入されています。ここ数年、中国、インドネシア、ベトナム等でも団体医療保険導入が急速に進んでいます。

団体保険を活用した企業の福利厚生制度の充実は、まさに「グローバルスタンダード」なってきているといえるでしょう。翻って、日本の企業における同制度の現況を見ると、日本のみが「ガラパゴス化」している、と言えなくもありません。