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国によって社会保障制度の歴史的経緯が異なっていますので単純比較はできませんが、福利厚生制度(法定外福利)の現況を見ると、日本企業と欧米企業とは大きな違いがあると思われます。
今回は、この点にフォーカスしたいと思います。
「福利厚生」とは、一般的に、「企業が、従業員の確保・定着、勤労意欲・労働能率の向上、労使関係の安定などの人事・労務管理上の効果を期待して、従業員とその家族を対象に、賃金その他の基本的労働条件以外の主として生活条件の領域で、任意にあるいは法的義務として実施する諸施策のこと」と定義されています。「福利厚生」には厚生年金や健康保険など、法律によって会社が負担することになっている「法定内福利」と、会社が独自に社員のために設けている「法定外福利」があります。
これまでの日本における「法定外福利」の充実策としては、社宅や持ち家援助、診療所などの医療施設、健康診断など保健衛生、保養所、慶弔・共済・保険・財産形成などが一般的であり、「持てる資源」を、従業員とその家族の福祉向上のために多岐にわたって配分しています。
一方、欧米企業の福利厚生制度(法定外福利)の考え方はどうなっているのでしょうか。
冒頭申し上げた通り単純比較はできませんが、大きな違いは、欧米企業は、「企業が在職中の従業員を生命・事故・障害等のリスクから守る」という考え方が福利厚生の基本として定着しています。
したがって、「法定外福利」の施策についてもこの考え方に基づき「持てる資源」を優先的に配分している、ということがいえます。その結果、低廉なコストでライフサイクルに応じた見直しが可能な団体保険が、生命・医療・障害保険の太宗を占めることになったと推測できます。日本の大半の企業が、「個人の保険は個人に任せておけばいい」としているのとは全く考え方が異なります。

生命保険等の普及に関する歴史的経緯の違いがあるものの、個人販売中心の日本と、企業など法人を通した保険の提供が主体の欧米との保険の販売方法・ルートの違いは、企業における社員に関連した保険の位置づけの違いが最大の原因だと思われます。

次回は、各国別にもう少し細かくご紹介をしたいと思います。